🔶根っこワークワンポイント配信
20231117
■「死」の捉え方「生きる」という意味
この時期は、喪中はがきが届きます。
いつの間にか、喪中はがきの数は増え身近に人を亡くすような年齢になりましたね。
生きているものにとっては、死とは「見送る」ことですが、ともに過ぎた日を思い出せば、「ともにいた」時のいただいたものの多さを思い出します。
しっかりとした,賢かった母が認知症になり、自己意識が無くなり、植物のようになってしまった母を介護し、見送ってから「死」の捉え方、見送り方の概念は変わりました。
悲しみは、悲しみとしてありますが、人生を生き切るという不自由な姿さえも、その人生の厚みと軌跡に、生き切ったという見事さが、尊いことと感じるようになりました。
母の本棚にあった、故司馬遼太郎さんの本。
遺言とも云われている
「21世紀に生きる君たちへ」
司馬さんが、21世紀に生きる子供たちへ、渾身の想い、願いを込めて書かれたメッセージが「生きる」という意味を深く考えるきっかけとなりました。
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「人間は、決して孤立して生きられるようにはつくられていない。このため、助け合う、ということが、人間にとって、大きな道徳になっている。
助け合うという気持ちや行動のもとは、いたわりという感情である。
他人の痛みを感じることと言ってもいい。やさしさと言いかえてもいい。
「やさしさ」
「おもいやり」
「いたわり」
「他人の痛みを感じること」みな似たような言葉である。
これらの言葉は、もともと一つの根から出ている。
根といっても、本能ではない。
だから、私たちは訓練をしてそれを身につけねばならない。」
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優しさや、思いやり、いたわり、他人の痛みを感じることは本能ではない。だから訓練して身につけなければならない・・・後に続きます。
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それらを訓練することで、自己が確立されていく。
いつの時代になっても、人間が生きてゆくうえで、欠かすことができない心がまえというものである。
君たちはつねに晴れあがった空のように、たかだかとした心を持たねばならない。
時に、ずっしりとたくましい足どりで、大地をふみしめつつ歩かねばならない。
君たちの未来が、真夏の太陽のようにかがやいているように。
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子供たちに向けた遺言ではなく、いまを生きている大人へのエールとも思います。
人生の価値は「名を成す・名を残す・お金儲け・財産を残す」ことが人生の成功というとらえ方が多いと思います。
けれども、だれかの心の中で生き続けることのできる、やさしさや、おもいやり、いたわり。
他人の傷みを感じることの訓練こそが自己の確立と学びます。
文責)野口悦子